深掘り
「ダブル村上」文壇の寵児に 村上龍さん、あふれる好奇心は最後まで
野波健祐
[PR]
「限りなく透明に近いブルー」「愛と幻想のファシズム」などで知られる作家の村上龍さんが17日亡くなった。74歳だった。
1987年の暮れ、大学の生協書店の平台に、二つの小説が山積みになっていた。村上春樹さんの「ノルウェイの森」と村上龍さんの「愛と幻想のファシズム」。どちらも上下巻だった。
片や哀切な恋愛小説、片やポピュリズムの時代を予見するような骨太の国際政治小説。後にバブル期と呼ばれる時代、対照的な「ダブル村上」は文壇の寵児(ちょうじ)となった。
いや、龍さんは76年の「限りなく透明に近いブルー」でのデビュー時から寵児だった。東京・福生の米軍基地を舞台にした奔放な青春群像は先行世代の眉をひそめさせながらも芥川賞を受賞。20年前の石原慎太郎「太陽の季節」のような社会現象を巻き起こした。現実の事件に着想を得た孤児たちの復讐劇「コインロッカー・ベイビーズ」(80年)も含め、政治経済社会の大きな枠組みを背景にしながら、時代ごとの流行や風俗をまとった人間を描く作風は初期作品で確立されていた。
現代社会を挑発する作品を次々と
援助交際を正面から取り上げ…
この記事は
有料記事です。残り509文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
関連トピック・ジャンル
ジャンル
