原発事故の国の責任認めず 仙台高裁、福島・津島地区の住民側が敗訴
野間あり葉 波多野陽
[PR]
東京電力福島第一原発事故で全町避難となった福島県浪江町津島地区の住民が、国と東電に地域の原状回復などを求めた「津島訴訟」で、仙台高裁(石垣陽介裁判長)は16日、東電のみの責任を認めて損害賠償を命じた。一方、国の責任は認めなかった。2022年の最高裁判決に沿った結論となった。
21年の一審・福島地裁郡山支部判決は、国が東電に津波対策を命じていれば事故は回避できたとして、東電だけでなく国の責任も認めていた。
しかし、22年に最高裁が別の同種訴訟で「現実の地震・津波は想定よりはるかに大規模で、防潮堤を設置させても事故を防げなかった」として、国の責任を否定。下級審でも同様の司法判断が続いた。
そこで、津島訴訟の原告側は控訴審で、最高裁が判断済みの従来の津波対策から論点を切り替え、国による原発の過酷事故対策が不十分だったとする主張を展開した。
国が、電力会社に長時間の電源喪失があっても原子炉を冷やし続ける対策を取らせずに原発を運転させたことが違法だったと訴えていた。
国は責任がないことは最高裁判決で結論が出ているとの立場をとり、東電は責任を争っていなかった。
津島地区は約1400人の人口があったが事故で全域に避難指示が出た。23年に役場支所近くなどの避難指示が解除されたが、面積の98%以上で避難指示が続いて住民は周辺自治体などに避難している。9月末の居住人口は12世帯19人。
石垣裁判長はこの日の判決を言い渡した後、「突然穏やかな生活が奪われ、悲痛な思いを抱いていることはよく伝わった。国と自治体が責任を持って住民の思いをくみ取り、ふるさとに帰りたいという願いが叶うことを切に願う」と語った。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。
関連トピック・ジャンル
ジャンル
