深掘り
改正皇室典範の施行前に「皇室保護」の動き、専門家は唐突さ懸念
中田絢子
改正皇室典範が10月24日に施行されるのを前に、皇室や養子候補となる男系男子を「誹謗(ひぼう)中傷から守るべきだ」として、保守系議員が法制化も視野に入れた動きを進めている。皇室を守るための検討とするが、専門家は懸念とともに唐突さを指摘する。
「皇室に対してもタブー無く批判はあってしかるべきだが、誹謗中傷、名誉毀損(きそん)ではいけない」
自民党の保守系議員らでつくる「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」は9月8日、「皇室保護プロジェクトチーム(PT)」の初会合を開き、代表の青山繁晴衆院議員は冒頭でこう述べた。
名誉毀損罪や侮辱罪は、被害者などの告訴がなければ、検察官が起訴できない親告罪で、皇族は立場上、告訴することは難しい。今後はSNS上の誹謗中傷、生成AIを用いたディープフェイク画像などの問題も検討し、議員立法による対応も視野に検討を進めることになった。
皇室への中傷、削除要請14件
護る会はこれまで旧宮家の男系男子の養子案などを主張してきた。今回も最終的に対策をとりまとめ、政府・与党に提言するという。
続く9月29日の会合では、関係する各省庁の担当者へのヒアリングを実施した。宮内庁は2024年度以降、SNSや動画サイトにある虚偽情報など14件についてプラットフォーム事業者に対し、削除の検討を依頼したことを明らかにした。
青山氏は会合後、14件という件数について「めっちゃ少ないと思いました」と記者団に述べつつ、法制化については「特定の立法措置を考えている段階ではない」とも話した。
「男系男子の養子」の法施行前に表面化
象徴天皇制の歩みを研究する名古屋大の河西秀哉教授(日本近現代史)は「近年、SNS上で見られる特定の皇族への虚偽情報や誹謗中傷は、見るに堪えないものがある」と対策の必要性に理解を示す。ただ、「仮に皇室のみを対象にした枠組みが新設されると、拡大解釈の余地が生まれる恐れがある。まずは皇室を支える宮内庁などが連携し、現行制度のもとで対策を尽くすべきだ」と主張する。
青山氏らは「不敬罪の復活は考えていない」と強調するものの、戦前は天皇が国家の主権者とされ、皇室に対する「不敬罪」が設けられ、思想統制や言論抑圧の手段として運用された。
今回の議論は、戦後に皇室から離れた旧宮家から男系男子の養子を新たに受け入れることを可能とする改正法の施行を前に表面化した。河西氏は「これまで多くの皇族方がバッシング対象となってきた際には同様の動きはなかった。唐突感がある」とも指摘する。
「人生が壊されるという恐怖感」 PTSDと診断された皇族も
一方で皇室にとって、バッシ…
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この記事を書いた人
- 東京社会部|機動チーム
- 皇室、憲法、平和、政治、運輸
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