「相互理解促し、民主主義の維持と発展を」 松江市で新聞大会
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第79回新聞大会(日本新聞協会主催)が16日に松江市であり、「信頼される確かな情報を届けて異なる考え方や利害を持つ人々の相互理解を促し、民主主義の維持と発展に寄与する」との決議文を採択した。今年度の新聞協会賞の授賞式のほか、教育現場におけるメディアの役割などを話し合う座談会もあった。
授賞式では、福岡県政に関する調査報道「歪(ゆが)んだ関係―福岡県政を追う」でニュース部門に選ばれた西日本新聞社編集局報道センターの御厨尚陽さんが「小さな違和感を見逃さず、おかしなことは、おかしいとしっかり書くことこそが地方紙に課せられた使命」とあいさつ。「歪んだ関係」では、福岡県議会の高額な海外視察や、正副議長ポストをめぐる現金授受疑惑など、常態化していた不適切な慣行を暴いた。
神戸新聞、京都新聞も
また、兵庫県知事選(2024年)に関する連載「あの熱狂の中で」など一連の報道で企画部門に選ばれた神戸新聞社編集局報道部の高田康夫さんは「SNSが生み出す怒り、不信、会話の断絶は全国、全世界が直面する課題。私たちに何ができるのか、これからも模索し続けていく」。「あの熱狂の中で」では兵庫県知事選をめぐる熱狂や分断、メディア不信を追い、SNS時代における民主主義や報道の在り方を問いかけた。
旧優生保護法下の強制不妊手術関連の企画「隠れた刃 黒塗り記録」で同じく企画部門に選ばれた京都新聞社編集局報道部の森敏之さんは「断種を推進した本当の理由も法の運用の実態も未解明のまま。優生政策の実相を明らかにしたい」と話した。「隠れた刃」は7年3カ月に及ぶ情報公開請求と訴訟を経て入手した開示資料から強制不妊政策の実相を明らかにし、国家政策によって奪われた一人ひとりの人生と尊厳を掘り起こし、障害者を取り巻く現代の課題も問い直した。
その後、二つの研究座談会があった。
「新たな情報教育に向けて~新聞が果たす役割とは」と題した座談会では、新聞協会長の中村史郎・朝日新聞社会長をコーディネーターに、大学教授らが教育現場で現実社会と教科書をつなぐ新聞の重要性などを議論。続く「新聞業界に求められる『ダイバーシティー経営』」では、業界内で依然としてジェンダーギャップが根強いことを念頭に、新聞各社の幹部らが、誰もが能力を発揮できる組織の実現に向けた課題と具体的な実践の方法などを話し合った。
決議文全文
日本新聞協会は今年、設立から80年を迎えた。戦後間もない1946年、全国の新聞社は倫理綱領の下に集い、民主国家としての日本の発展に尽くすことを誓った。その思いは変わらない。
一方でウクライナ、ガザに加え今年に入ってからイランでも武力の応酬がやまず、紛争の平和的な解決を志向してきた戦後の国際秩序は危機に瀕(ひん)している。また、コミュニケーションのデジタル化と生成AIの急速な進展によって社会はかつてない変化に直面している。混沌(こんとん)とした情報環境は、時に社会の分断や感情的な対立を引き起こしている。
新聞には、信頼される確かな情報を届けて異なる考え方や利害を持つ人々の相互理解を促し、民主主義の維持と発展に寄与する役割が求められている。新聞協会は果たすべき役割を不断に問い直し、会員各社が健全なジャーナリズムの担い手であり続けることを誓う。
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